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第4章

第19帖「薄雲」~ 

第18帖「篝火(かがりび)

以降も、源氏をはじめとする様々な登場人物たちが、恋愛を通して、人生のままならなさを思い、悩み、葛藤していくさまが描かれていきます。

かつて、源氏の愛人であった六条御息所も年老い、死期が迫った御息所は、「娘の 斎宮女御(さいぐうのにょうご)のことを頼みます」と、源氏への遺言を遺していました。

美しい女性に成長した斎宮女御は、新しく帝に即位した冷泉帝のもとに迎えられました。

やはり色恋に走らずにはいられない性分なのか、源氏は斎宮女御にも恋心をほのめかします。

しかし斎宮女御は全くなびかないどころか、その浮気性な性格について源氏に苦言を示します。

この発言に、源氏は自らの華々しい恋の時代が過ぎ去っていくことを痛感しました。

源氏は斎宮女御への恋心を捨て去り、御息所の遺言の通り、斎宮女御を支えていくことを誓うのでした。

 

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出家していた藤壺もやがて亡くなり、その四十九日法要が済んだころの話です。

藤壺の息子であり、現在の帝・冷泉帝は、とある位の高い僧から、「貴方の本当の父親は、故桐壺帝ではなく源氏である」と、自らの出生の秘密を告白されます。

事実を知った冷泉帝は大変驚くとともに、ある思いに駆られます。

それは、「このところ都で続いている災害を鎮めるには、正当な皇位後継者である源氏を差し置いて、自分が帝になってしまったことを、天の神が許していないせいだ。だから源氏に帝の位を譲るべきだ!」という考えです。

 

そこで冷泉帝は、自分の出生の真実を知ってしまったことを隠したまま、源氏に「帝にならないか」、と執拗に譲位の話を持ち掛けます。

この冷泉帝の態度から、「冷泉帝が出生の真実を知ってしまったに違いない」と確信した源氏は、ひどく動揺します。

 

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それでも新しい恋がやめられない光源氏。

次は 源氏の叔父の娘にあたる朝顔(あさがお)という女性にアプローチするようになります。

叔父の娘ということもあり、源氏は10代の頃から朝顔のことが好きだったのですが、朝顔は一度も源氏になびいたことがありません。

しかし世間の人々は、「朝顔なら人格も家柄も源氏の正妻にふさわしい、まさにお似合いの二人だ」などと噂していました。

この噂に胸を痛めていたのが、現在、源氏のそばで妻として暮らしていた紫の上でした。

美しく、知性・性格・芸事にも長けた紫の上は、まさに当時の「理想の女性」でした。

しかし身内に先立たれてしまっていたので、政治的な力や財力のない姫に過ぎませんでした。

当時、貴族同士の結婚では家柄が最も重要視されており、容姿の美しさや性格の良さよりも、身分が高く格式ある名門貴族の生まれであることが正妻の条件として求められていました。

そのため、紫の上は源氏の正妻としてはふさわしくないとされ、二人の関係が公に発表されることはないまま、事実婚のような関係が続いていました。

 

貴族として何の力もないために源氏に愛されていながらも正妻になれない自分と、家柄もしっかりしていて世間からもお似合いだと噂される朝顔を比べてしまい、紫の上はひとり不安に打ちひしがれるのでした。

 

 

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源氏の息子・夕霧もやがて12歳となり、元服の儀式を終え、成人し、役職を与えられることになりました。

源氏は夕霧に勉学を身に着け、立派な成人貴族になってほしいと考え、あえて位の低い役職を与えました。

「夕霧には苦労をさせ、いろいろなことを学ばせよう」という源氏の思惑とは反対に、夕霧はこのような待遇を不満に思い、その悔しさをバネにして、異例の速さで昇進していきます。

 

かつての源氏は、帝の息子という高い地位にありながらも、父のもとから離れ育ったことで、自分よりも身分の高い女性たちとの恋に野心を燃やしていました。

その息子である夕霧にも、逆境を糧に高みを目指そうとする血が流れているのかもしれません。

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